金融の豆知識

アベノミクスとは?3本の矢の中身とその成果について

アベノミクスとは? 3本の矢

テレビやネットのニュースで頻繁に目にするアベノミクス。「名前は知っているものの、他人に説明できる自信はない」という人がほとんどではないでしょうか。

また、アベノミクスによって、日本経済と私たちの生活がどう変わったのか?、について知りたい人も多いはずです。
ここではアベノミクスの中核となる経済政策3本の矢に注目しながら、アベノミクスをわかりやすく解説します。

アベノミクスは2012年12月26日、第二次安倍内閣において表明された3本の矢を柱とする経済政策です。
以下、その3本の矢の概要についてご説明します。

第1の矢:大胆な金融政策

金融緩和(市場にお金を落とすこと)によって、流通するお金の量を増やし、バブル崩壊以降続いているデフレマインドを払拭することが目的です。
デフレマインドとは、安物を買うなどして出費を最小限に抑え残りを貯蓄に回す、といった消費者の消極的な心理状態のことを言います。

第2の矢:機動的な財政政策

10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら需要創出を狙う政策です。
もっと具体的に言えば、政府が公共事業(インフラ)に積極的にお金を投入し、雇用者を増やす政策のことです。雇用創出によるデフレ脱却が、主な狙いと言えます。

第3の矢:民間投資を喚起する成長線略

規制の緩和によって、民間企業がもっと自由に活躍・新規参入できることを狙いとした政策です。
企業投資を促す、女性・若者・高齢者・障害者・外国人といった人材活用の強化、電力の自由化、といったことが具体的な方針です。

アベノミクス 3本の矢の成果

上記の3本の矢によって実現した経済回復には、例えば以下のようなものがあります。

・実質GDP年率 2.4%プラス成長(2015年1月-3月期)
・有効求人倍率 高水準(上昇)
・企業の経常利益 過去最高水準
・女性就業数 政権発足後から78万人の増加
・完全失業者数 政権発足後から61万人の減少
・企業倒産件数 24年ぶりに年間1万件を下回る
(参考:首相官邸

ただし、これらの成果には批判や疑問の声もあります。「デフレはまだまだ続いていて消費は促進されていない」、「企業の人手不足は深刻」、「地方の経済は未だ疲弊したまま」といったものです。
3本の矢の成否については、政府が公表する情報だけでなく、マスコミや専門からの意見も参考にしながら、冷静に分析することが大切かもしれません。

アベノミクス 新3本の矢とは

2015年9月、同じく安倍内閣によって新3本の矢が宣言されました。「長年手付かずだった日本社会の構造的課題である、少子高齢化の問題に正面から挑戦したい」という意気込みの元、次の3つが掲げられています。

新第1の矢:希望を生み出す強い経済

GDP600兆円の達成が目標です。地方を活性化させる(地方創生)の体制を本格化することで、最大限の生産性を生み出すことが目標として掲げられています。

新第2の矢:夢を紡ぐ子育て支援

出生率を1.8まで回復させることが目標です。平成29年は1.43だったため、あと約0.4あげることが必要となります。
幼児教育の無償化や不妊治療のサポートを、積極的に進めることが掲げられています。
(参考:厚生労働省・人口動態統計の概況

新第3の矢:安心につながる社会保障

高齢者はもちろん、若者(現役世代)の安心も確保する目的で、社会保障の充実化を目指すものです。
また介護を取り巻く施設・人材不足、介護離職といった問題にもフォーカスされます。高齢者の雇用を促進させる体制も積極的に推進されます。

安倍首相は2020年に向けた戦略と位置付けているため、成果については、これから有識者やマスコミらから様々な見解が出されていくはずです。

アベノミクスの展望

デフレ脱却を掲げるアベノミクスが成功につながるには、少子高齢化と労働力の確保が必須と言われます。
また労働者の賃金を上げることも必要でしょう。そうでなければ消費も活発化せず、デフレマインドは根付いたままとなります。
さらなる財政・金融体制を作り上げるとともに、個人の力に焦点を当てた政策を実行できるか否かが、今後のキーポイントとなりそうです。

最終更新日 2018年12月21日 9283view
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