金融の豆知識

老後資金2000万円は多い?少ない?実際にはいくら必要なのか

老後資金に不安を抱えている人は多いです。年金の支給開始年齢が65歳に引き上げになったことや、医療・福祉の発達により平均寿命が伸びつつあることなどが主な理由でしょう。

平成30年の総務省統計局の家計調査年報(貯蓄・負債編)によると、貯蓄高は以下のような推移となっています。

二人以上の世帯における1世帯当たりの貯蓄現在高
・2012年 1658万円
・2013年 1739万円
・2014年 1798万円
・2015年 1805万円
・2016年 1820万円
・2017年 1812万円
・2018年 1752万円
(参考:http://www.stat.go.jp/~

2016年までは4年連続で増加していましたが、ここ2年は減少しています。

「老後2000万円問題」も話題になりましたが、平均値で考えると2000万円に近い額になっています。
一方で「老後資金はもっと必要」と考える人や「いやいや、そんなにいらないだろう」という人もいます。
老後資金はいくら必要なのか。実際に必要になる費用をいくつか挙げてみます。

老後資金の内訳

家計調査報告の平成30年版を見ると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ)の実収入は平均222,834円です。
うち、年金などの社会保障給付が203,824円、その他が19,010円です。
家計収支(収入の使い道)は以下のような内訳になっています。

○食料  27.7%
○住居  5.8%
○水道・光熱  8.4%
○家具・家事用品  4.0%
○服や靴など  2.6%
○保健医療  6.4%
○交通・通信  11.9%
○教養娯楽  10.3%
○その他(交際費など) 22.8%
(参考:http://www.stat.go.jp/~

これを見て、「社会保障給付だけで十分普通の生活ができるんじゃないか」と感じた人もいるかもしれません。
しかしこれらの支出はあくまで生活費のみです。人によっては、次のような費用も必要になる可能性があります。

・住宅ローン返済
・リフォーム
・旅行
・子供の結婚祝い
・車買い替え
・医療・介護費用

これらの合計はおよそ2000~3000万円です。つまり、世間的に2000万円の貯蓄は必要と言われているのは、より充実した老後を過ごすために必要となる貯蓄のことなのです。逆に言えば、2000万円の貯蓄がなくても、社会保障給付を含めた収入が20万円前後ある人なら普通の生活は十分可能ということになります。
老後も何かしらの仕事に就く予定がある人は、なおさら余裕が生まれるはずです。

老後の資金を充実させるには?

「今のうちに老後資金に余裕を持たせる方法はないの!?」と焦っている人も多いと思います。そんな人は以下の方法を検討してみましょう。

○定期預金や投資信託を利用する

銀行や投資信託会社が設けているサービスを利用しましょう。定期預金は原則、満期日まで引き出すことができないので、お金が貯まりやすいというメリットがあります。
ちなみにほとんどの大手メガバンクの定期預金の預け入れ期間は1ヶ月~10年なので、この点も参考にしてください。
投資信託の積立で有名なのは、2018年1月からスタートした「つみたてNISA」です。
年間40万円まで20年間非課税、金融商品は金融庁が認めたものだけなのでリスクが少ない、といった点がメリットです。
違いやベストな選択肢に悩む人は、実際に銀行の窓口に相談しに行くことをお勧めします。

関連:「つみたてNISA」は老後資金を作るのに向いている?

○私的年金に加入する

私的年金とは、公的年金の上乗せの給付を保障する制度で、高齢期により豊かな生活を送るための制度として国から推進されています。
種類がいくつかあり、確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金の4種があります。
例えば、厚生年金基金は企業に勤めている人が対象、国民年金基金は自営業や国民年金の第一号被保者に該当する人が対象、といった違いがあります。
自分の立場に応じで選択することが可能です。

関連:税金のかからない資産運用iDeCo

まずは、自分はどんな老後のライフスタイルを送りたいかを考えましょう。
そのプランによって、もっと支出を減らすことが必要だったり、むしろ無理して貯める必要もなかったりという判断ができるため、具体的な計画に移ることができます。

最終更新日 2020年01月31日 24852view
この記事は作成から1年以上経過しています。情報が古い場合がありますのでご注意ください。
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